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訴状

  

 訴状 (PDFファイル) ⇒ http://garekisaiban.web.fc2.com/dl/130121sojou.pdf


訴   状

平成25年1月23日

大阪地方裁判所 御中

原告ら訴訟代理人弁護士  梅 田 章 二

同    弁護士  小 林 徹 也

同   弁護士  大 西 克 彦

同   弁護士  藤 本 一 郎

同   弁護士  吉 田 正 樹

当事者の表示  別紙当事者目録記載のとおり


災害廃棄物広域処理差止等請求事件

訴訟物の価格         4億5970万円
ちょう用印紙の価格      140万円


原告目録1ないし10記載の原告らの被告らに対する請求の趣旨

 1 被告大阪府は,別紙本件廃棄物目録記載の廃棄物を大阪府内に運搬してはならない。
 2 被告大阪市は,別紙本件廃棄物目録記載の廃棄物を焼却処分及び埋立処分をしてはならない。
 3 被告らは,原告目録1ないし10記載の原告らに対し,それぞれ10万円を支払え。
 4 訴訟費用は,被告らの負担とする。
との判決並びに第1項,第2項及び第3項につき仮執行宣言を求める。

原告目録11ないし260記載の原告らの被告らに対する請求の趣旨

 1 被告大阪市は,別紙本件廃棄物目録記載の廃棄物を焼却処分及び埋立処分をしてはならない。
 2 被告らは,原告目録11ないし260記載の原告らに対し,それぞれ10万円を支払え。
 3 訴訟費用は,被告らの負担とする。
との判決並びに第1項及び第2項につき仮執行宣言を求める。


請求の原因

目次
第1 はじめに
 1 本訴の概要 4頁
 2 被告らの本件広域処理対策事業及びその問題点の概要 4頁
3 差止請求権の法的根拠 5頁
第2 本訴提起に至る経緯
1 東日本大震災の発生 7頁
2 国の主導による広域処理計画の推進 7頁
 3 被告らの受入表明と試験焼却の実施 9頁
4 焼却処分結果の公表と本格処理の開始 11頁
第3 本件広域処理事業の危険性
1 放射線が人体に与える影響 13頁
2 放射性物質の総量 18頁
3 本件広域処理事業による放射線被害の拡大の危険性 19頁
4 小括 30頁
第4 本件広域処理事業に,必要性・合理性があるのか。
 1 広域処理の必要性があるのか。 32頁
 2 本件広域処理事業に,経済的合理性があるのか。 34頁
 3 あるべき処理 34頁
第5 不法行為の成立 36頁
第6 結論 38頁



第1 はじめに
 1 本訴の概要
本訴は,平成25年2月より,被告らが主として岩手県宮古地区に生じた,別紙本件廃棄物目録記載の廃棄物(後述するように,この廃棄物には,人体に極めて有害な放射性物質であるセシウム134及び137並びに石綿(アスベスト)等を含有している)を大阪市内の焼却場に運搬し,これを焼却した上で,その焼却灰につき埋立処理をしようとしていることから,これが計画通り実施されれば,原告らが享受する人格権ないし環境権を侵害することが明らかであるため,提起する訴訟である。
2 被告らの本件広域処理対策事業及びその問題点の概要
被告らは,東日本大震災により主として岩手県宮古地区に生じた,主として木くずを中心とした,別紙本件廃棄物目録記載の廃棄物(以下,「本件廃棄物」という。) について,災害廃棄物広域処理対策事業(以下,「本件広域処理事業」という。)と銘打って本格受入を表明しており,すでに,平成24年11月29日,30日,約10万トンの試験焼却処分を実施済みである。
 本件廃棄物は,放射性物質を大量に含み,あるいは含む可能性を有したものである。本件広域処理対策事業は,これを岩手県内で集積した上,大阪府内へ運搬し,運んだ災害廃棄物を大阪府内で焼却処理の上,海面埋立処分を行うというものである。本件広域処理対策事業が,大量の放射性物質を大阪府に運んでくるというものである以上,住民の生命・身体への危険性をはらむものであること自体については明らかなところである。そうであるにも拘わらず,被告らは,住民の生命・身体への危険性について,十分な検討を行うことなく本件広域処理対策事業を行おうとしている。
更に,震災廃棄物に含まれている有害物質は,何もセシウムだけではない。他の放射性物質,アスベスト,クロム,砒素など,様々な有害物質を,少なくとも含む蓋然性がある。
 また,岩手県の災害廃棄物は,被災県内で十分処理可能であり,廃棄物を大阪府内で処理すべき必要性もない。広域処理を行うことそれ自体の必要性,有意義性にも疑問があるにも拘わらず,被告らは,これに対する十分な検討もせず,本件広域処理対策事業を進めようとしているのである。
 さらに,被告らに拠れば,本件広域処理事業は,被災地復興支援を目的になされるものであるが,これが真に被災地の復興に資するものか,復興への有効性に関して,十分な検討もなされていない。
3 差止請求権の法的根拠
 日本国憲法下において最も重大な法益は,国民の生命・身体であり,あらゆる日本国民は,安全な環境で生存する権利・利益を有する。上記のとおり,本件広域処理対策事業は,原告らの生命・身体にとって重大かつ深刻な影響を及ぼしうるものであるにも関わらず,十分な安全性の担保もない上,広域処理事業自体に必要性,合理性もなく,被災地復興への有効性に対してすら大きな疑問がある。
 よって,原告らは,人格権ないし環境権に基づき,放射性災害廃棄物の大阪府内での焼却,埋め立て処分の差止を求めるものである。
(1) 人格権に基づく差止請求権
 人が人として相応しく生きていくために保障される権利としての人格権(憲法13条,25条)が,差止請求権の法的根拠となることについては,従前の差止訴訟の裁判例においても認められているところである。本訴においても,原告らは人間の生命・健康の維持と人たるにふさわしい生活環境の中で生きていくための権利という極めて根源的な内実を持った権利を有する。原告らは,かかる人格権に基づく妨害予防請求権を根拠として差止請求を行うものである。
(2) 環境権に基づく差止請求権
 上記の人格権に加えて,環境権をも根拠として差止請求が認められるべきである。
 「環境権」は,憲法13条,25条を根拠とし,人が健康で快適な生活を維持するために必要な良き環境(自然的環境を含むことはもちろんのこと,社会的・文化的環境も含まれる。)を享受しうる権利であり,人間に様々な危害を加える行為について,その被害が各個人に現実化する以前における「環境」そのものに対する侵害行為を排除し,もって人格権を守ることを目的とする権利である。
 幸いにも,東日本大震災及びその後の東京電力福島第一原子力発電所の事故によっても,大阪府を含む我が国の多くの地域は,放射性物質の拡散が殆どない軽微な被害で済んだ。大事故にもかかわらず,原告らの自然放射線以外の放射線を浴びず事故または被害発生の不安がない安全かつ平穏な環境は,東日本大震災及びその後の東京電力福島第一原子力発電所の事故によって,犯されることはなかった(又は極めて軽微であった)。
しかし,今回の被告らの本件広域処理事業が実行されれば,3万6000トンという大量の震災廃棄物が一箇所の処理場に短期間に集中して受け入れられ,原告らの生命・身体にとって重大かつ深刻な影響を及ぼしうる。原告らは,環境権の一種として,自然放射線以外の放射線を浴びず事故または被害発生の不安がない安全かつ平穏な環境を享受する権利を共有しており,かかる環境権に基づく妨害予防請求権をも根拠として差止請求を行うものである。

第2 本訴提起に至る経緯
1 東日本大震災の発生
 平成23年3月11日14時46分,三陸沖(牡鹿半島の東南東,約130km付近。深さ約24kmを震源とする東北地方太平洋沖地震)にて発生し,当該大地震とこれに伴う津波により,東北地方太平洋沿岸部に膨大な災害廃棄物が発生した。さらに,東京電力福島第一原子力発電所の事故により,少なくとも90万テラ ベクレル ともいわれる放射性物質が大量に外部に放出され,東北地方を中心に,放射性物質が全国に飛散する事態に至った。
 このようにして,放射性物質を含む大量の災害廃棄物の処理という難題が日本に生じた。
2 国の主導による広域処理計画の推進
 (1) 国による広域処理の打診と法的整備
東北大震災により生じた膨大な災害廃棄物について,平成23年3月14日,環境省は,いち早く全国の自治体に対し処理の打診を行っている。これに対し,同年4月の段階では,全国の大半の自治体(41都道府県,346市町村)も受入を表明していた。
 その後,同年6月には,原子力安全委員会「福島原発事故の影響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」を公表(※クリアランスレベル10μSv/年) し,環境省も,福島県を対象とした「放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物の処理の方針」「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」を公表し,焼却灰については,8000Bq/kg以下は一般廃棄物として埋立可能としたという方針を発表した。なお,同時期の環境省による算定では,被災3県の災害廃棄物2250万トンと公表されていたところである。
 同年6月27日には,東京都内のごみ焼却施設から生じた飛灰から8000Bq/kg超のセシウムが検出され,これに伴って,福島県内基準を全国に適用する趣旨の「一般廃棄物焼却施設における焼却灰の測定及び当面の取扱いについて」が通達されている。同年8月11日,環境省は,「災害廃棄物の広域処理に係るガイドライン」を公表し,同月18日には,「東北大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法(以下,災害廃棄物特措法という)」が施行され,同月31日には,「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(以下,放射性廃棄物特別措置法という)」が施行され,東北大震災により生じた災害廃棄物の処理についての法的整備を進めた。
  (2) 上記を根拠法規とした災害廃棄物の広域処理計画を推進するため,国が投じた広報費は,30億円にのぼる
 ところが,各地で起きた住民の反対運動もあり,当初受け入れを表明していた多くの自治体が受入を撤回しはじめた。
 現時点では,受入表明をしている自治体は,1都11県53件となった。このように,大半の自治体は,一度行った受入表明を,自ら撤回したのである。この事実自体,広告費だけで30億円以上を投じて進められた計画が,いかに全国の自治体や市民の理解を得られない失策であったかを如実に示していると言わざるをえない。


 3 被告らの受入表明と試験焼却の実施
  (1) 大阪府による検討会議の設置と指針の公表
 大阪府は,災害廃棄物処理特別措置法、放射成物質環境汚染対策特別措置法および,東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理推進に係わるガイドラインをもとに、平成23年9月から12月にかけて6回の「災害廃棄物の処理指針に係る検討会議」を開催し、同年12月27日に「大阪府域における東日本大震災の災害廃棄物処理に関する指針(以下,大阪府災害廃棄物処理指針という)」を公表した(なお,第6回目の検討会議は,同年12月14日であり、そのわずか2週間以内の27日に大阪府災害廃棄物処理指針が公表されている。)。
 この検討会議の趣旨は、大阪府下の市町村で災害廃棄物の広域処理を行うことを大前提に、その安全性を検討するというものであった。府の職員が,国際放射線防護委員会(ICRP)が指定する放射線の被曝線量の計算モデル式と係数による周辺住民と作業者の被曝量を推定を示したこと,環境省が示すガレキの放射能濃度測定値,他市で行われた試験焼却の結果を照会することが同検討会議の主な内容であった。
 また,大阪府災害廃棄物処理指針の主な内容は、①周辺住民や作業者の受ける放射線量限度は、年間1mSvを基準として,これを下回るものにすること。②これを満足させるために,受け入れる災害廃棄物の放射成物質濃度の目安値(目安値は,セシウム134とセシウム137の合計)を100Bq/kg、埋め立てる焼却灰などの目安値を2000Bq/kgとする。③府下の市町村に対して,バグフィルターなど特定の設備を備える焼却場であることなどを条件に災害廃棄部の焼却を求める,というものであった。
 ただし,この時点では環境省から、水面における埋立処分の取扱いについて具体的な見解が示されていなかったため,「今後、国から処理基準について見解が示された段階で、専門家の意見を聞き,処理方法についてとりまとめる」として,大阪府下の一般廃棄物の焼却灰の大半を埋立処分する処分地である通称「フェニックス」などでの上記焼却灰の埋立処分する点について、さらに検討が必要としていた。
  (2) 大阪府下の市町村の対応
 上記のとおり,大阪府の方針が示されたものの,平成23年12月以降、大阪府下の多くの市町村は,大阪府の指針に反してがれき受入を拒否し、あるいは受入拒否を要求する住民の申入れに対して、住民の安全を考慮し,極めて慎重に検討する旨の意思表示を行って,事実上の受入拒否を決めている。
 その中で大阪市のみが受入の準備を進めるべく、大阪府を通じて,環境省に対して,大阪市が保有する北港処分場へのガレキ焼却灰の埋立処分の評価を申請した。
 平成24年6月5日付で,環境省より大阪府・市に対して、「北港処分地(夢洲1区)における広域処理災害廃棄物焼却灰埋立時の放射性セシウムの挙動に関する評価」(独立行政法人国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター)が示され、北港処分場でのがれきの焼却灰埋立を容認した。
 これを受けて大阪府は,同年6月10日,第7回の「災害廃棄物の処理指針に係る検討会議」を開催し、同年6月18日、先記の「大阪府域における東日本大震災の災害廃棄物処理に関する指針」を改訂し、若干の条件を付けて大阪市の北港処分場への焼却灰の埋立を許容した。
  (3) 本件広域処理事業の決定
 平成24年8月3日、大阪府・大阪市と岩手県が「東日本大震災により発生した被災地の廃棄物の処理似関する基本合意書」を結び、岩手県の木くず等可燃物(放射性セシウム濃度が100Bq/kg以下のものに限る)について,平成26年3月31日までに、3万6000トンを処理量の上限に受けいれることとされ,広域処理の具体的な方法としては,以下のとおりとすることとされた。
 ①岩手県は,被災地の災害廃棄物を岩手県の港湾施設まで陸上輸送し,船舶に積み込む。
 ②大阪府は,岩手県内の港湾施設から海上輸送し、陸揚げ・積み替えを行った上で,大阪市環境局舞洲工場(此花区)まで陸上輸送する。
 ③大阪市は,廃棄物を舞洲工場で焼却し、その焼却灰を北港処分場まで陸上輸送し,同地で埋立を行う。
 
 これと前後して、大阪市は,同年7月27日に大阪市会ががれきの広域処理にかかわる約1億円を計上する補正予算を可決した。
 なお,その際,議案第188号「平成24年度大阪市一般会計補正予算(第1回)」に対する付帯決議が採択され、市民・事業者への納得のいく十分な説明や、安全性の確認・検証と結果公表などが履行されるまでは試験焼却および本格受入を行わないことが要求された。
 同年8月以降、大阪市は市民、此花区民に対する説明会を数回行い、同年10月のラボ実験を経て、11月末に試験焼却を行った。
4 焼却処分結果の公表と本格処理の開始
  これを受けて,平成24年12月27日,被告大阪府は,放射能濃度等,すべての項目において基準を満たしており,安全に処理できることが確認された,と公表し,被告らは,平成25年2月以降,本格処理を開始する予定である。
  現在の被告らの計画によれば,平成25年2月及び3月で,まず6000トンを大阪市此花区の処理場にて焼却処理することとなっている。
なお,東京都の東京二三区清掃一部事業組合が平成24年12月に受け入れる震災廃棄物の総量は,都内11箇所の清掃工場合計で約450トン ,平成25年1月に受け入れる震災廃棄物の総量は,都内12箇所の清掃工場合計で約600トン であり,被告らによる本格処理が,他に例を見ないような大規模なものであるか,理解できよう。

第3 本件広域処理事業の危険性
1 放射線が人体に与える影響
 (1) 福島原発事故によって環境に放出された放射線が人体に与える影響は甚大である
 これを考える場合には,事故原発から放出された放射性物質(これには,放射性ヨウ素131や放射性セシウム137ほか何種類もの核種が含まれる)が,放射能雲(プルーム)として風に乗って運ばれ,降雨・降雪や下降気流によって放射性降下物として地上に舞い降りることが,まず問題となる。
 すなわち,地上に舞い降りた放射性降下物の人体に及ぼす影響については,種々の核種から放射される放射線の一種であるガンマ線が体外から人体内を突き抜けることが主要因となる一時的な「外部被曝」ならびに,呼吸による吸入と飲食物の摂取によって体内に取り込んだ種々の核種から放射されるアルファ線とベータ線が主要因となる長期的な「内部被曝」という,次元の異なる二種類の被曝がある。
 しかも,今回の原発事故では,後者の「内部被曝」が重要であるにもかかわらず,日本政府が依拠するICRP(国際放射線防護委員会)の諸勧告は,基本的に前者の外部被曝だけを念頭においているため,実際問題としては,一時的に強線量を外部被曝したときに直ちに現れる即発性の「確定的影響」しか問題とせず,長期間にわたって低線量を内部被曝したときに現れる晩発性の「確率的影響」が著しく軽視されていることをも,認識する必要がある。
 以上の実態については,文献が豊富な幾つかの名著,例えば『人間と放射線』(ジョン・W・ゴフマン著,今中哲二ほか訳,社会思想社,1991。),『人類の未来をおびやかすもの 原子力公害』(アーサー・R ・タンプリン,ジョン・W ・ゴフマン著,徳田昌則監訳,アグネ,1974。),『放射線被曝の歴史』(中川保雄著,技術と人間,1991。),『内部被曝の脅威』(肥田舜太郎,鎌仲ひとみ,筑摩書房,2005。),『隠された被爆』(矢ヶ崎克馬著,新日本出版社,2010。),『新装版 食卓にあがった放射能』(高木仁三郎,渡辺美紀子著,七つ森書館,2011),『低線量内部被曝の脅威:原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録』(ジェイ・マーティン グールド著,肥田舜太郎,斉藤紀,戸田清,竹野内真理訳,緑風出版,2011。)などを読めば,内部被曝の脅威は一目瞭然であり,また,ECRR(欧州放射線リスク委員会)の1993 年勧告と2010年勧告を見れば,これが歴然たる事実であると認めるしかない。
 (2) 放射線に「それ以下の被爆は安全」という被曝放射線量の閾値(いきち,しきいち)はない
 本来的には,止むを得ず被曝せざるを得ない自然の放射線だけしか存在してはならず,それすらも可能な限り浴びないように心がけるべき,というのが真に科学的な態度である。
 被曝放射線量に閾値なるものが放射線で用いられるようになった契機は,もっぱら原子力(核分裂)を利用したい側の理論である。すなわち,内部被曝を曖昧にしたまま,基準値(閾値)以下の被爆であれば無害であると偽って勝手に線引きをして,一般市民に原子力災害をある程度許容させた上で,被曝せざるを得ない状況を生み出しているのが実態である。
 あらゆる生物は,低線量でも被曝線量に応じた出現頻度で遺伝子突然変異や遺伝子損傷などを繰り返し起こすこととなり,生命の危機が高まることは,1970年代までに明確な事実として遺伝学界では周知の事実となった。突然変異は,すべてが有害というわけではないが,生命に有害な場合が圧倒的に多い。したがって,低線量でも内部被曝すれば,結果的に白血病や癌など生命に危険が及ぶ種々の障害の原因になり得る。しかも,この場合に,ただちに障害が出るのではなく,晩発性(発症するまでに時間が要する)という特徴がある。
  (3) 外部被曝と内部被曝の割合
 チェルノブイリ原発事故後,平均的なオーストリア人の外部被曝と内部被曝の割合に関する,オーストリア政府による見積もりによれば,被曝の80%が飲食物から,5%が汚染空気の呼吸からで,計85%が内部被曝であり,外部被曝は主として地面の汚染に起因する15%のガンマ線ということである。このことは,例えば,高木仁三郎・渡辺美紀子著の『食卓にあがった死の灰』,1990 年,講談社現代新書。『新装版 食卓にあがった放射能』(高木仁三郎,渡辺美紀子著,七つ森書館,2011)に見られる。
 以上の事実からも,ICRPや日本政府が軽視する内部被曝が極めて重要な問題であることは明らかである。
  (4) 放射線の種類と特徴
   ア 外部被曝と内部被曝の関連で放射線の種類と特徴を概観すれば,放射線源(今回の東京電力福島第一原子力発電所事故では放射性降下物としての種々の核種)から照射される透過性の強いガンマ線や中性子による外部被曝だけを問題にし,放射性降下物を直接間接に体内に取り込み(口や鼻から),長期にわたって体内でアルファ線やベータ線に被曝する内部被曝を意図的に無視しているのがアメリカを中心とするICRPであり,広島,長崎の原爆症裁判でも長期にわたって無視され続けたが,近年になってようやく,一連の原爆症認定訴訟においても内部被曝が認められるようになった。
   イ 内部被曝では,透過性の低いアルファ線やベータ線でも有害に作用するため,放射性ヨウ素131やセシウム137,ストロンチウム90などが特に問題となる。
 放射性ヨウ素131は,半減期が約8日と短いが,甲状腺に集積しやすく,特に子どもたちでは甲状腺癌を誘発しやすい。セシウム137は,筋肉など身体全体に散らばり,半減期が約30年と長いため,長期にわたって被曝され続けることになる。また,ストロンチウム90は,骨に集積されやすく,半減期が約29年と長いため,これも長期にわたって被曝され続けることになる。なお,実際には,生物体内では,一部排泄されたりするため,上記の物理的半減期よりも短くなる。
 いずれにしても,内部被曝で問題となるのは,アルファ線とベータ線である。アルファ線は,空中では約45mm,体内では約40μmしか飛程(移動)できない。また,ベータ線は,空中では約1m,体内では約10mmしか飛程(移動)できない。しかし,これら粒子線としての両放射線は,このわずかな移動中に自身が持つすべてのエネルギーを放出して細胞中の原子を結びつけている電子をはじき飛ばし,分子を切断する。その結果,DNAに損傷を与えるため,アルファ線やベータ線はガンマ線に比べ透過力は弱くても,やがて目に見える大きな放射線障害を誘起することになる。
 一方,エックス線と同じく電磁波に属するガンマ線は,透過力が極めて強く,体内を容易に透過するため,ガンマ線の外部被曝を受けた一瞬の間にガンマ線が放出するエネルギーは微々たるものである。したがって,体内に取り込んだ放射性物質から放出されるガンマ線による内部被曝の影響も,アルファ線やベータ線の内部被曝に比べれば極めて微々たるものとなる。内部被曝すなわち,アルファ線とベータ線による長期にわたる放射線被曝の影響の恐ろしさの理由が,ここにある。
  (4) 放射線が生体に及ぼす作用
 生体内では,放射線被曝するとイオン化(電離)が生じる。ガンマ線(エックス線も同様)被曝では,「フリーラジカル」(活性酸素もそのひとつ)と呼ばれるイオン化分子が形成される。すなわち,これらの放射線が生体内を通り抜ける際に,生体内の原子から電子を放出させ,この電子が生体内を走りながら飛跡の周辺の分子と反応してエネルギーを与えるために,これによって分子から電子が放出されてイオン化する。この癌や老化の原因にもなるフリーラジカルは,きわめて不安定な分子で,やたらに他の細胞構成分子に取り付いては電子を奪って酸化させ,障害を誘起する。
 したがって,細胞内で遺伝をつかさどるDNAやRNAをはじめとする諸組織が傷つけられて,遺伝子突然変異やさまざまな病的症状を引き起こすことになる。
 一方,アルファ線やベータ線による内部被曝では,上記(4)で述べた理由により,生体内を通り抜けるときにできるイオン化の密度が非常に高いために,フリーラジカルを介することなく,直接的に生体内分子に作用する。その結果,一時的な高い線量(すぐ死亡するほどではない)の外部被曝よりも,持続する低線量の内部被曝の方が,晩発性障害が大きいことが分かってきた。
 すなわち,DNAなど遺伝情報をつかさどる重要な生体組織に,修復不可能な変異を誘起することが,アルファ線やベータ線による低線量の内部被曝の恐ろしさなのである。アルファ線で原子が電離されると,二次電子が生じ,この二次電子の飛跡に沿って細胞構造物を電離させる高いエネルギーをもつゆえ(これをデルタ線と呼ぶ),アルファ線が生物体に及ぼす作用の多くは,このデルタ線の効果である。いずれにしても,放射線被曝の影響は,特に細胞分裂の盛んな時期ほど大きく,年齢別では高齢者よりも中年,それよりは壮年,思春期の若者,少年少女,幼児,胎児という具合に大きくなっていく。
  (5) 小括
 放射線の人体への影響は,未解明な部分も大きい。福島県はもとより,東京都,静岡県,北九州と災害廃棄物の広域処理を実施している他府県では,喉の痛みやリンパの異常などを訴える子どもたちが多くなっているというニュースも報道されている。個々の事例の因果関係を立証するおとおは困難であるとしても,実態が解明された後では取り返しがつかない,ということだけは確かである。
 本件広域処理事業は,上記縷々のべてきた放射線による被害を拡大させる可能性を秘めている。被災地復興が,いかに大切な目的であったとしても,慎重な判断が求められることは言うまでもないところである。
 ところが,被告らは,当該危険性について,十分な検討すらせずに,何らの安全性の担保もなく,本件広域処理事業を遂行しようとしているのである。
2 放射性物質の総量
  (1) 福島第一原発事故によって放出された放射性物質の量
福島第一原発事故により放出された放射性物質は,東京電力株式会社の発表によると90万テラベクレルと言われる。福島第一原発から放出された放射性物質が,放射能雲(プルーム)として風に乗って運ばれ,降雨・降雪や下降気流によって放射性降下物として地上に舞い降りた。日本のどの地域にどの程度の量が舞い降りたかについても,研究が進められているところである。
 本件広域処理事業において,対象となる廃棄物は,岩手県宮古地区の可燃廃棄物を中心とする廃棄物であり,この地域にも,放射性物質は降下している。現に,宮古地区の災害廃棄物からも,一定量の放射性物質が検出されている。
なお,廃棄物の種類によって含有する放射性物質の量が相当異なることも分かっている。1kgあたりで見る場合,木くずに含まれる放射性物質の量は確かに100bq/kgを下回ることが殆どであるが,その他の可燃物の放射性物質の量はより大きくなる傾向がある。
  (2) 本件広域処理事業において受け入れることとなる放射性物質の量
当然のことながら,すべての災害廃棄物を検査したものではないため,正確ではないものの,10個の検体の検査ですら,このような検査結果がでており,岩手県宮古地区にも,相当量の放射性物質が降下したことは明らかであり,受入を予定している災害廃棄物の中にも,多分に放射性物質を含むものが含まれている可能性がある。
 現時点では,本件広域処理事業において,被告大阪府が受け入れる放射性廃棄物は最大3万6000トンであり,単純計算で,最大100ベクレル(被告らの本件広域処理事業における計画値であり,これを超える放射性物質の量が一切流入しないという保証はない)×3万6000×1000=36億ベクレルの放射性物質が大阪府に流入しうることになる。
 被告らは,この量の放射性物質の受入,焼却,埋立をすること決定したのである。
3 本件広域処理事業による放射線被害の拡大の危険性
  (1) 放射性物質は,拡散・飛散させてはならないこと
   ア 上記のとおり,放射線は,人体に様々な影響を及ぼす。そのため,放射性物質の取り扱いに関しては,適切な処理体制を厳格に構築する必要があることは当然である。
 放射性物質の管理に関しては,放射性物質を拡散させないこと,飛散させないことが基本的に重要である。放射性物質は目に見えず,大量の粒子として存在するため,これを管理するためには,放射性物質自体を動かさず,集中的に管理するのが正しいあり方であることは,容易に了解可能な事項であると思われる。そのため,放射線防護学上,これが放射性物質管理の鉄則となっている。
 そうすると,本件廃棄物にしても,現在瓦礫のある地域から他の地域に放射能で汚染された瓦礫を移動させない,というのが放射線防護学からみた,原則的な処理であることは言うまでもないところである。
 実際,これまでの我が国における放射性廃棄物の管理実務は,それが真に妥当なものであったかは別論,東京電力福島第一原子力発電所事故後のようなずさんなものではなかった。
 放射性物質は封じ込めるという原則の下,我が国では,原子力発電所等の施設から排出された低レベル放射性廃棄物について,決して焼却することなく,厳格な管理の下,ドラム缶等に封じ込める措置を採ってきた。放射性廃棄物を処分するために認められた我が国唯一の最終処分場青森県六カ所低レベル放射性廃棄物埋設センターでは,埋設を行う放射性物質をセメント,アスファルト等で固化するなどの手法を規定し,埋立総量の上限も定め,さらに,放射線モニタリングを徹底することで事業許可を受けて,事業が行われてきたのである。
 なお,同センターでは,現在でも,8000ベクレル/kgの放射性廃棄物であっても,低レベル放射性廃棄物として,焼却することなく,厳重に管理が行われていることは言うまでもない 。
   イ 本件広域処理事業は,これと真っ向から対立するものである
 がれきを運搬して,射性物質を拡散し,焼却処分を行うことで空気中への再飛散の可能性と高濃度汚染灰を生み,高濃度汚染灰の海面埋立は,海への放射性物質の拡散を招くリスクがある。
 特に,焼却処分をするということは,原発事故により飛散した放射性物質が地上に舞い降りていたにも関わらず,これをあえて再び空中に飛散させることになるのであり,原則的処理に,真っ向から矛盾するものである。
 本件広域処理事業は,あえて鉄則に反した処理をしようというのであるから,相応の合理的理由がなくてはならないことは当然である。しかしながら,拡散を前提とした処理を行う理由については,国も,被告らも,明確に答えようとしない。実際,広域処理の必要性を説くのみで,拡散しない他の手法に関する検討は一切なされていないのである。
  (2) 本件広域処理事業の危険性
   ア 上記のとおり,本件広域処理事業の対象となる災害廃棄物は,既に相当程度放射性物質に汚染されている蓋然性が高く,焼却灰や飛灰に高濃度の放射性物質が濃縮される(環境省の試算によれば,33.3倍に濃縮される)。
 単純に考えても,大阪府のような人口の密集する地域で,放射性物質によって汚染された災害廃棄物を焼却・埋立することには,多くの問題がある。
 しかし,被告らは,下記のような主要な問題点に対する検討すら,十分行わないまま本格処理を開始しようとしているのである。
   イ 埋立限度が定められていない
 被告らの説明には,埋立限度の説明が一切ない。
 被告らの説明によれば,100ベクレル/kg以下の廃棄物に限り,受け入れるとしており,通常ごみと混合焼却するため,基準を大きく下回ることになる旨説明している。確かに,放射性廃棄物の管理において,キログラムあたりの放射線量が重要な要素であることは間違いない。しかし,他方で,放射性物質の総量によって,人体への被害の危険性の大小が左右されることはいうまでもないのであって,放射性物質の総量も重大な要素である。濃度と総量は,有害物質管理において,それぞれがそれぞれの重要性をもっているのである。
 従前,我が国でも,放射性物質の総量規制がなされてきたと言われている。少なくとも,このような大量の放射性物質を処理する以上,いかに濃度を薄めても,総量が大きいのであれば,その影響を考慮する必要はあったと思われる。ところが,環境省や被告らは,「災害廃棄物」に関して,一貫して濃度規制に関する説明に終始し,総量規制を行わない。「総量規制を行わない理由」すら説明されていないのである。
 このように,被告らは,放射性物質の管理に関し,極めて重要な要素である放射性物質の総量に関し,一切検討することなく,本件広域処理事業を行おうとしているのである。
   ウ 内部被曝と外部被曝の混同
上述したとおり,被告大阪府の「大阪府災害廃棄物処理指針」によれば,「受け入れる災害廃棄物の放射性物質濃度の目安値(以下「受入れの目安値」という。)を100Bq/kg」とするとされている。その根拠は,「周辺住民や作業者の受ける線量限度は、一般公衆の年間線量限度とされている1mSv/年を下回る」ことを「十分満足させる」ことにある。
しかし,既にアルファ線・ベータ線・ガンマ線の相違でも述べたが,同じ1mSv/年であっても,どのような放射線による被曝か,換言すれば,内部被曝か外部被曝かによって,受ける影響は全く異なる(ヨーロッパの研究機関の算定によれば,数百倍以上異なると言うところもある)。そして,後述のとおり,焼却によって放射性物質が空気中に拡散され,拡散された放射性物質が直接呼吸から,又は大地に散らかされたために飲食物から摂取されれば,かかる懸念度の高い内部被曝が発生してしまう。
被告は,このような内部被曝発生の可能性を無視した安全基準を設定しているのであり,その安全基準設定の方法が杜撰である。
エ 焼却によって,放射性物質が空気中に拡散されること
   (ア) 被告らの主張するバグフィルターの安全性
被告大阪府によれば,「原則,バグフィルターが設置されている焼却施設で焼却することとし」「放射性セシウムは,800〜850℃以上の炉内で一部は揮発したり液化したりすると考えられ,揮発・液化した放射性セシウムは,排ガスの冷却過程で凝縮し,ばいじんに吸着していると考えられます。それは,セシウムの沸点は,約650℃,塩化セシウムでの形態をとっても沸点は約1300℃であることから,約200℃いかに制御されるバグフィルター付近でばいじんに吸着しているとかんがえてよいと思われます。京都大学の高岡教授の安定セシウムに関する調査でもバグフィルター前で固体状が99.9%,ガス態が0.1%であったことが報告されている。」として,安全性を強調している。
   (イ) バグフィルターの機能は限定的である
      しかしながら,そもそもバグフィルターは,放射性物質の除去装置として開発されたものではなく,それが完全に放射性物質を除去できる科学的根拠はない。
 バグフィルターの濾過効果は,「確率的」なのものである。粒径が小さいものでも,低確率で除去されることもあるが,粒径が大きいものの場合でも,全部が濾過されるということはない。つまり,ある粒径を境に,それ以上は濾過されるが,それ以下は濾過されないという性質を持つものではないのである。
 また,バグフィルターの濾過効果は,日々変動する。バグフィルターは,「目詰まりを利用して濾過効果を高める」という原理に基づいているため,未使用のバグフィルターほど濾過効果は低く,使用するにしたがって,粒径の小さいものでも,濾過される確率は高まる。ただし,それとともに圧力損失が高まり,破裂の危険が増すため,定期的に目詰まりを払い落とさなければならないため,その直後には,圧力損失は減少し,同時に濾過効果も低くなる。
 いずれにせよ,気体状(気体分子)のものは濾過できない(後述するとおり,この点は大きな問題である)し,2μmという比較的大きな粒子でも,未使用のバグフィルターでは50%程度しか除去できないのであって,完全に放射性物質を除去できる保証など,一切ないのである。
   (ウ) 放射性セシウムのばいじんへの吸着率について
 被告大阪府によると,放射性セシウムは,ばいじんに吸着していると考えられ,気体状のものは存在しないという。
 しかしながら,これは完全なる机上の理論である。その沸点(BP)以下でも,一部は気化するため,必ずその一部は,バグフィルターを通過して,環境中に排出されてしまう。
このことは,例えば我々が中学校で学習した水のことを想起すれば容易に理解されよう。すなわち,水の沸点(摂氏100度)に到達しない水であっても,コップの中に放置しておけば徐々に蒸発(気化)し,最終的にコップの中の水がなくなってしまう。沸点に到達すれば全て気化し,沸点未満であれば気化しないというのは,中学生でも理解可能な「まやかし」であり,実際は,沸点以下であっても,当該液体(セシウムは約28度で液化する極めて融点・沸点の低い金属である)に気化熱が加われば一定程度気体になるのである。
このように,一定割合のガス化は避けられないため問題は「ガス化の程度」であるが,その程度を検証した実証的データは存在しない。
特に,最初から常温であったり,最初から摂氏200度であったという環境と異なり,一旦は全てのセシウムが気体となる摂氏650度を大きく超え,摂氏800度まで過熱される焼却炉の中では,例え200度に冷やされたとしても,凝固熱を奪うことができたセシウムに限って液化する。即ち,液化の過程はいきなり発生するのではなく,時間と共に徐々に発生するのであって,実証的データなしに沸点以下であれば気体のセシウムが存在しないかのような説明は大きな間違いである。
 また,焼却炉やバグフィルターの個性により,セシウムのガス化割合も,ばいじんの性質(大きさ)等も異なることから,焼却施設それぞれに検証が必要であろう(焼却施設,個々の検証は一切なされていない)。
 いずれにせよ,一定割合のセシウムが気化(ガス化)してバグフィルターを通過することが想定される以上,問題は,「どれだけのものが環境中に排出されるのか」という点である。
 しかしながら,「どの程度の放射性物質が環境中に排出されるか」一切実証的データはない。つまり,どの程度の放射性セシウムが気化してバグフィルターを通過するのか科学的に確定できない中,本件広域処理事業は,実行されようとしているのである。
   オ 最終処分場から大阪湾への汚染が危惧されること
 セシウムを含んだ飛灰は,水溶性が高いが,最終処分場は,完全に密閉されたものではないため,焼却灰中のセシウムが溶け出し,大阪湾へ漏出する可能性が高い。
なお,セシウムは水溶性が高く,水に混ざれば容易に溶け出すものである。
 被告らも,もともと大阪湾への漏出を予定しているようであり,最大限見積もった場合,1リットルあたり700ベクレル程度の漏出があるという。
 しかしながら,上述のとおり,放射性物質は,封じ込めるのが原則であり,なぜその原則を放棄するのか,その理由の説明は一切ない。
 また,そもそも放射性物質の吸着性が高いというゼオライトを敷設することで,排水の放射性物質濃度の安全性は保たれるとするが,ゼオライトの性質・性能についても,研究が進んでいるものではなく,信頼性に疑問がないわけではない上,大阪湾へ流出するであろう放射性物質の総量は見積もられていない。
 さらに,最終処分場が集中豪雨による冠水した場合や津波による海水の流入があった場合など,防災に関する視点も欠落している。
 以上の通り,埋立処分に関しても,検討を要する多く点に関し,被告らは十分な検討を行うことなく,本件広域処理事業を行おうとしているのである。
   カ 本件広域処理事業の適切な管理が期待できないこと
   (ア) 東日本大震災以前は,放射性廃棄物の処分について,国が厳格に管理してきた。即ち,原子力発電所等由来(経済産業省所管)の放射性廃棄物及び研究所等由来のRI,研究所等廃棄物(文部科学省所管)については放射性廃棄物の処理について規定が存在し,処分が行われていたが,環境省所管の一般廃棄物・産業廃棄物においては,「放射性物質及びこれによって汚染された物」が明文で除外されてきた。
 そのことは,市町村には,これまで放射性廃棄物の処分の経験がないことを意味している。また,当然のことながら,市町村には,放射能に関する専門職員及び組織はない。被告らにおいても同様である。
 本件広域処理事業は,放射能に関して無知の集団によって進めなければならないのである。
 青森県六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターでは,管理期間を概ね300年と見込んでいる。放射性セシウム137の半減期は30年であるが,本件対策処理事業では,封じ込む期間に関して,一切の検討がなされていない。環境省の指針によれば,市町村最終処分場の埋立期間は概ね15年とされているが,被告らは,その期間を超えた後,どのようにして管理するつもりか,現時点で検討されていないのである。
 群馬県伊勢崎市の最終処分場や千葉県市原市の廃棄物処理会社の排水から,国が示した排水基準の目安を超える放射性セシウムが検出されるなど,実際に放射能の漏洩等,現に管理できていない事例がすでに見られる。
 被告らにも,放射能の専門家はいないのであって,これらの事例とさほど大差ない。現に,管理の期間すら検討できていないであって,被告らに適切な管理を期待するのは酷であるというべきである。
   (イ) 目安値である「100ベクレル未満か否か」の管理が極めて杜撰となることが予想されること
 既に述べたとおり,大阪府災害廃棄物処理指針によれば,受入れの目安値をキログラムあたり100ベクレルとするとされている。同じように,先行して実施されている東京都の受入れ目安値もキログラムあたり100ベクレルとされているが,これには次のような問題点があったが,その改善もされないまま受入が進もうとしている。
 第1に,公表されている情報によれば,100ベクレル未満か否かを,僅か,月1回しか測定していない 。確かに,空間線量(シーベルト)の方は毎日測定している。しかし,これによって測定可能なのは,かなり大きな放射線であって,100ベクレル未満か否かは勿論であるが,その10倍である例え1000ベクレル/kgであっても,またその100倍である1万ベクレル/kgであっても,空間線量の測定のみではまず検知できない(実際,東京都の公表するデータによっても,放射性物質の量(ベクレル)が大きい検体の方が空間線量(シーベルト)は小さくなっている例も散見される)。従って,「たまたま」ある測定が100ベクレル/kg未満であれば,その余がこれを超えていたとしても,そのまま受け入れられてしまう懸念は強い。
 第2に,その僅か月1回の測定も,杜撰な測定であることが良く分かる。例えば,宮城県女川町から東京都が平成24年6月に受け入れた震災廃棄物について,宮城県女川町が平成24年6月1日に放射性物質の量(ベクレル)を測定している が,これによると,確かに「木くず」は,ND(ただし,NDとは40ベクレル/kg未満を言う)となっているが,「廃プラスチック」は105ベクレル/kg,「繊維くず」は149ベクレル/kg,「その他」は176ベクレル/kgと,いずれも「目安値」の100ベクレルを超過しているのである。にもかかわらず,「木くず」が全体の80%を占めると計算され,全体を平均すれば57ベクレル/kgであるということで、そのまま受け入れられている。
 しかし,よく検査結果を見ていると、毎回「木くず」は80%であり,「廃プラスチック」は14%であり,「その他可燃物」は6%である。様々な廃棄物が混在する震災廃棄物の組成比率が,常にこの比率である筈はない。つまり,比較的放射性物質の量が少ない「木くず」が80%という仮定のもとで,100ベクレル/kgを超過するその他の廃棄物が混ざっていても,薄まるから「目安値」以下だという,杜撰な基準で受入が進んでいるのである。
 そもそも「木くず」は,一般的に放射性物質の量が少なく,かつ処理がし易いということで,処理が比較的スムーズに進んできた経過がある。被告らが受入を開始するのは,計画によれば震災から2年近く経過した今年2月からであり,「木くず」以外の可燃物がより多く含まれる可能性がある。そのように潜在的に多くの放射性物質を含有する可能性の高い震災廃棄物を受け入れるのに,現在の被告らの計画によれば,東京都同様,放射線量の測定は毎日行う模様であるが,放射性物質の量のチェックを厳しく行うようなものとはなっていない。また,被告らが岩手県から受け入れる震災廃棄物は,木くずを中心とするとされているが,その余をどの程度含むのか,何ら決まっていない(被告らの計画では,まさに本訴状に記載した「本件廃棄物」の全ての受入の可能性がある)。
結局、キログラムあたり「100ベクレル」という目安値は,極めて杜撰な検査態勢によって,有名無実化され,より多くの放射性物質が受け入れられる可能性が高い。
   ク セシウム以外の有害物質
   (ア) 平成24年7月5日,テレビ朝日系列の「モーニングバード」という番組で,震災廃棄物の広域焼却処理を推進していた当時の細野環境大臣が生出演し,広域処理の必要性を訴えた。
 その中で,震災廃棄物を宮城県が防災林の下部に埋立処理しようとしていることについて次のようなやり取りがあった。
 細野「防災林に埋めるというのはこれまでやってこなかったんです。ただしそれ以上の物については安全性についてですね、これは我々はお約束はできないと、で、クロムやヒ素というのは、これは猛毒です。」
 玉川(番組の進行役)「だからそれがどのくらい・・あるんですか?」
 細野「いや、それが・・」
 玉川「だいたい建築廃材でしょ?クロムやヒ素なんていう猛毒な物が、建築廃材の中にそんなに高濃度で入っている?」
 細野「入っている」
 玉川「だって、今回のがれきっていうのは津波とかによって破壊された家屋とかがメインですよ。ね?そういうふうなものの中に」
 細野「家屋の中に入っている。本当に環境でこの一線だけは守らなければという、彼らが長年積み上げて議論してきたそのクロムやヒ素の問題までさらに埋めろなんて、これは言えませんよ。」
 この細野発言に見られるように,震災廃棄物の中には,クロムや砒素等,有害物質が含まれていることが十分予見されている。細野大臣によれば,これらを埋立資材にすることができないそうであるが,その同じ震災廃棄物を焼却すれば,より濃縮する。また,被告らの計画によれば,これを大阪湾に埋めるのであり,より濃縮された上で同じ被害が発生するように思われる。しかし,被告らがこれらのクロムや砒素について十分検討した形跡はない。
   (イ) 更に,先行する東京都の事例によれば,震災廃棄物の中から猛毒のアスベストが何度も検出されている 。確かに,国の基準(一リットルあたり10本)と比較すると低い数字であるが,問題は濃度ではなく総量である。本件広域処理では,最大3万6000トンもの震災廃棄物が受け入れられるのであるから,例え1リットルあたりの本数がごく僅かであっても,総量として受け入れるアスベストの量はかなりの量になることが予想される。
 ところが,少なくとも被告らの本件広域処理事業においては,アスベスト・クロム・砒素等の放射性物質以外の有害物質に対する具体的対策が考えられているとは言えない。既に検出されている東京都ですら,時々測定しているだけである。
 更に,福島の事故で放出された放射性物質は,何もヨウ素やセシウムだけではない。確かに,僅かな受入であれば主要な放射性物質であるヨウ素及びセシウムのみを測定すれば足るのかもしれない。しかし,3万6000トンもの大量の震災廃棄物を受け入れるのであるから,その余の放射性物質も総量としては相当量含むこととなる筈である。しかし,その測定や対策は何ら考えられていない。
4 小括
以上の通り,本件広域処理事業では,最大36億ベクレルもの放射性物質が大阪府域に持ち込まれることになり,しかも実際には,それ以上の放射性物質が受け入れられることになる可能性も高い。
 被告らによる安全性のキャンペーンにも拘わらず,本件広域処理事業の各過程には,焼却により大気中へ,埋立により海中へ,放射性物質を拡散する蓋然性が高い。
また,ヨウ素・セシウム以外の有害物質も大量に含まれる可能性が十分考えられるが,その対策もない。
 これによる原告らの生命・身体への影響は甚大であって,原告らの,人間の生命・健康の維持と人たるにふさわしい生活環境の中で生きていくための人格権,環境権を侵害することは明らかである。しかも,放射性物質を含む大量の有害物質が再度拡散し,人体に影響を与えた場合,その影響は不可逆的なものである。
 よって,被告らの推進する本件広域処理事業は,原告らの人格権,環境権を侵害するものとして,差し止められるべきである。
 

第4 本件広域処理事業に,必要性・合理性があるのか。
 1 広域処理の必要性があるのか。
  (1) はじめに
被告らは,国,および岩手県の要請を受け,本件広域処理事業を行う必要性があると判断している。しかしながら,真に,広域処理を行う必要性があるのか,下記のとおり,疑問がある。
  (2) マスタープランの期限の合理性について
   ア 環境省は,平成23年5月16日,「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)」を公表し,平成26年3月までに災害廃棄物の処理を終える計画を立てた。この「平成26年3月までに災害廃棄物の処理を終えること」というスローガンが,被告ら,国,岩手県が公表している広域処理の必要性の根拠のすべてである。曰く,災害廃棄物の存在により,被災地復興が阻害されており,早急に災害廃棄物の処理をしなければならない,というのである。
   イ しかしながら,なぜ,平成26年3月までに,災害廃棄物の処理を終えなければならないのか,「マスタープランでそう決まった」ということ以外にその理由はない。
 岩手県内に限ったとしても,可燃物の処理可能量は,1063トン/日ある。被告らが受け入れるとしている最大量3万6000トンは,1月あまりで県内処理が可能な量である。
 莫大な運搬費用を掛け,上記に見たような放射線被害の危険性を犯してまで,大阪府下で処理する必要性がどこにあるのか。
 しかも,平成24年4月当時の環境省の発表によれば,97%以上の災害廃棄物は,仮置場への一時保管が済んでいるのであり,岩手県宮古地区の災害廃棄物も,被災地での復興を妨げることのない場所へ,すでに移動が済んでいるのである。このように,一月あまり後れるのというのは,仮置場にある廃棄物の処理が遅れるだけのことであって,災害廃棄物処理の「完了」が後れるに過ぎない。決して,被災地の復興が一月遅れるわけではないのである。
  (3) 災害廃棄物総量の見直し
   ア 環境省によると,当初,岩手県,宮城県の災害廃棄物総量は,それぞれ,480万トン,1570万トンと見積もっていた。しかし,平成24年5月,がれき総量の見直しが公表された。
 岩手県内においては,木くずを含めた焼却処理の対象となる災害廃棄物について,総量132万700トン,うち82万600トンを県内処理するものとしていた。
 ところが,平成24年5月の見直しによって,木くずを含めた焼却処理の対象となる災害廃棄物の総量が76万9000トンと見直されることになった。すなわち,そもそも,実際の焼却処理の対象となる廃棄物の量は,もともと県内で処理予定であった範囲内であることが判明したのである。
   イ これに対し,環境省,被告らの説明では「未だに広域処理が必要」との説明を繰り返すのみで,なぜ,焼却処理の対象となる災害廃棄物の広域処理が依然として必要なのか,について具体的説明はない。
 この点に関しては,環境省も,被告らも,合理的な説明ができないと言わざるを得ないのである。
  (4) 小括
    本件広域処理事業は,原告らを含めた国民の生命・身体に与える影響は甚大なものがあるのである。
 そうすると,本件広域処理事業を正当化するには,少なくとも,本件広域処理事業が,我が国にとって,或いは大阪という地域にとって,必要不可欠なものと言えなければならないはずである。
 しかしながら,災害廃棄物の量という,本件広域処理事業の必要性判断にとって,最も重要な観点からも,その必要性が乏しい状況に至ったと言わざるを得ない。本件広域処理事業には,上記の人体へのリスクをあえて冒すことと比較して,これを正当化しうる程度の必要性がないことは明らかであるというべきである。
 2 本件広域処理事業に,経済的合理性があるのか。
  (1) 被告大阪府によると,岩手県宮古地区の災害廃棄物を大阪府下へ運搬し,焼却の上,埋立処分を行う費用と,岩手県内で処理する費用は同程度と見積もっている。また,被災地の自治体の首長の中には,陸前高田市のように,地元処理の合理性を主張する首長も登場したことは周知である。
 被告らにおいても,単に,費用を比較するだけでなく,県内の雇用の創出や経済効果という観点からの検証も当然なされていなければならない。
  (2) 被告らが,真に被災地復興を願っているのであれば,まず間違いなく費用の算出,比較を行い,県内処理と広域処理のいずれが経済効果としても有効性を有しているか,慎重に検討したはずである。
 しかしながら,これが実際に同等であること推計した結果は公表されていない。被告らの岩手県の復興に対する考え方も公表されておらず,単に知事から直々に協力要請があった事実に依拠し「大阪府としては,岩手県からの要請を受けて受入を行うものです。」という説明に終始している。
 いずれにせよ,50億円近い莫大な予算を組んで行う計画であるにも関わらず,その経済的合理性も,経済効果も想定もあいまいなのである。
 3 あるべき処理
   本来であれば,効果の疑わしい除線などに多額の国費を費やすことをやめ,放射性物質を含む廃棄物については,可燃であれ不燃であれ,被災地であれ被災地外であれ,焼却せず,特定の汚染地に「封じ込める」手法を取るのが妥当であった。
原告は,何も「大阪だけ」が助かれば良いと思っているのではなく,その証拠に本訴の原告には大阪府外の者も含まれているところである。
「きずな」の美名のもとで,必要性も合理性も疑わしい広域処理をするよりも,なるべく全ての人の被ばくを小さくするという人と環境に優しい対応をすることが可能であったにもかかわらず,被告らは,これを怠ったのである。

第5 不法行為の成立
 1 以上の通り,本件広域処理事業は,原告らの人格権・環境権を侵害するものとして違法である。
2 そして,本件広域処理事業が推進されることにより,原告らは,たとえば,次のような損害を被る。
 放射能汚染瓦礫を全国で広域処理する、しかも非汚染地である大阪で焼却するという世界的に見ても愚かなこの試みにより,放射能汚染がれきは,輸送中に作業員を被曝させ、焼却場や埋め立て場の作業員と住民も被曝させ、大地も水も空気も汚染する。本件広域処理事業が遂行されれば,さらに多くの命が危険にさらされることになる。
 しかも,本件広域処理事業は,事業の意義・目的も明らかで納得できるものではない上,安全であるというキャンペーンは実態を伴っていない。通常の経験則をもって推認すれば,本件広域処理事業により,大阪は確実に汚染される。
 本件広域処理事業により,現実に,原告らは,生命・身体に重大な害悪を被る蓋然性がある。
これによる,原告らの精神的損害は,仮に実際には個別的に生命・身体に害悪が発生しなかったとしても,甚大である。何故なら,少なくとも理論上は(放射能に閾値はないので)何らかの放射能障害が発生する可能性が高まるため,「余計な」放射能障害に怯えることとなり,その対策として不要なマスクをしたり,公園などの外で大気を気にせず享受する機会が奪われてしまうからである。
3 原告らの中には「母親」も多い。彼女らはいう。
 「東北を応援しなくちゃと東北の野菜を買って食べさせていたら、子どもが鼻血を出し、下痢をし体調を崩しました。」
 「給食の牛乳を飲むと吐きあげるようになりました。きのこを食べると下痢をしました。」
 「今まで風邪をひかなかった子が、今年の冬は溶連菌・インフルエンザ・マイコプラズマと3度も病気になりました。」
 震災後,原告らだけでなく,すべての日本国民が,放射能被害に対する不安におびえている。このような不安が本件広域処理事業により増強されることになるが,それは被災地支援のために必要な「絆」などではない。こういった声は,被告らによる立派な不法行為による精神的損害の一部である。
4 これを慰謝すべき慰謝料額としては,10万円を下らないと言うべきである。

第6 結論
 以上の通り,本件広域処理事業を遂行すると,被告らの計画通りの範囲しか受け入れなかったとしても最大36億ベクレルもの放射性物質が大阪府下で焼却され,埋め立てされる(前述のとおり,これを超える放射性物質を受け入れることになる可能性も十分存在している)。このことによる原告らを含めた国民の生命・身体に対する影響は,甚大・深刻であり,かつ不可逆的なものである。
 被告らは,守られる保証のないキログラムあたり100ベクレルという基準,科学的担保のないバグフィルターを過剰に信頼したまま焼却処理を行おうとしており,空気中への大量の放射性物質が再拡散する可能性が高い。また,埋立処理については,海中への拡散が当然の前提とされ,埋立後の管理については,検討すらなされていないのであって,これによる海中への大量の放射性物質の再拡散の可能性が極めて高い。さらに,放射性物質以外の有害物質の管理に至っては,具体的対策の検討すらなされておらず,問題性の認識すら疑わしい。このように,被告らは,本件広域処理事業の国民の生命・身体に対する影響について,十分な検討を行っていないことは明らかである。
 また,以上のように危険性を内在する計画であるにも拘わらず,真に被災地復興に資するのか,その有効性という観点からの検討も,日本にとって,大阪にとって必要不可欠であるのかというからの検討も,経済的合理性という観点からの検討も十分になされているとはいえない。
 そうすると,本件広域処理事業は,行う意義,意味,効果の検討もなされないまま,国民の生命・身体を侵害するという深刻なリスクを過小評価,或いは無視して行われようとしているのであり,本件広域処理事業は,原告らの人格権,環境権を侵害する。
 また,上記の通り,本件広域処理事業は,原告らの人格権,環境権を侵害するものとして違法であるところ,原告らの生命・身体に,現実に害悪を及ぼす蓋然性があり,そのことにより,原告らの精神的損害は甚大である。
 よって,原告らは,被告らに対し,不法行為に基づく精神的慰謝料として,それぞれ10万円の支払いを求める。また,原告らの人格権,環境権に基づき,被告大阪市が別紙本件廃棄物目録記載の廃棄物を焼却処分及び埋立処分を行うことを差し止めることを求め,特に原告1ないし10は,被告大阪府が別紙本件廃棄物目録記載の廃棄物を大阪府内に運搬することの差し止めを求める。
                                以上

別紙
当事者目録

 原         告    別紙原告目録記載のとおり。


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同  弁護士    吉  田  正  樹

〒540-8570
大阪市中央区大手前2丁目1番22号
被         告    大     阪     府
上 記 代 表 者 知 事    松  井  一  郎

〒530-8201
大阪市北区中之島1丁目3番20
被         告    大     阪     市
上 記 代 表 者 市 長    橋  下     徹


別紙
本件廃棄物目録
 東日本大震災により発生した災害廃棄物のうち,下記のいずれかに該当するもの。
ア 可燃廃棄物:木くず,紙くず,繊維くず,廃プラスチック等可燃性のもの。
イ 不燃廃棄物:コンクリートがら,金属等不燃性のもの。
ウ 混合廃棄物:アとイが混合しているもの。
エ 焼却灰  :アないしウの焼却により生じた焼却灰

別紙
原告目録





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放射能汚染ガレキ広域処理    差し止め裁判原告団

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